
普段の展示では照明までこだわれなかったが、
今回は照明の当て方も意識できてとても良かった
展示照明における「光」の役割について、どのようにお考えでしょうか?
作品本来の魅力を最大限に引き出すために、「光」は欠かせない要素だと考えています。単なる視覚的なインパクトに留まらず、光の質や当て方によって作品との距離感や空間への没入感を生み出し、来場者の体験価値に大きな影響を与えると感じています。
約20平方メートルの限られた空間でも、光によって作品が持つメッセージや感情をより深く伝え、観る人に忘れられない感動を与える上で極めて重要です。光が織りなす空間は、まさに作品と鑑賞者を繋ぐ架け橋となります。
ITLの照明を使って、実際にどのような空間づくりや作品演出ができましたか?
2025年3月に新しいギャラリースペースへ移転した際、最初の展示である田中ラオウさんの個展からアイティーエル株式会社の照明器具を導入しました。これにより、作品の魅力がより増し、立体的に浮かび上がり、空間全体に統一感が生まれました。特に、ライブペインティングで描かれた巨大な壁画にも効果的にライティングができ、田中ラオウさんからは「普段の展示では照明までこだわれなかったが、今回は照明の当て方も意識できてとても良かった」と好評をいただきました。天井高4m、3mのグリッド式ライティングレールという環境下で、作品の世界観を広げる演出が可能になりました。
作品展示において、普段どのような照明の工夫や配慮をされていますか?
色温度の調整はしていませんが、ただ作品を見せるだけでなく、アーティストのコンセプトやテーマを抽出した空間演出を意識しています。約20平方メートルの限られた展示空間で、展示全体の構成や来場者の動線に合わせて照明を細やかに配置し、空間全体で作品のメッセージが自然に伝わるような設計を心がけています。次の新埜康平さんの展示では、箔を使用した作品が多く、光の反射を意識した繊細なライティングが求められましたが、照明の絞りや光量調整の自由度が高く、理想の色合いで作品を際立たせることができました。
ITLの照明レンタルサービスを利用されて、どのようなメリットを感じましたか?
今回はレンタルではなく購入させていただきましたが、アイティーエル株式会社の導入までのサポートが非常に丁寧で、安心して購入に踏み切ることができました。展示現場の具体的な条件(約20平方メートルの広さ、天井高4m、3mのグリッド式ライティングレール)をふまえた、的確なご提案をいただけたことで、導入後のイメージを明確に持てた点が非常に助かりました。導入にあたっては、コストも考慮しましたが、最終的には光の質の良さを最優先し、アイティーエルの照明器具を選びました。
ITLの照明を選んで「よかった」と感じた点を教えてください。
照明について最適な選択肢が分からないなかで、ただ製品を勧めるだけでなく、美術館や博物館での実例を交えながら、照明の特性や空間演出における光の考え方を丁寧に教えていただけたことが特に印象に残っています。これにより、照明そのものへの理解が深まり、納得した上で最適な選択ができました。特に、光の質の高さは期待以上で、新しい展示で箔を使った作品を際立たせる際など、絞りや光量調整の自由度の高さ、そして光の質の良さに非常に満足しており、作品表現の幅が広がりました。