【パナソニック汐留美術館】 特別企画「和巧絶佳展 令和時代の超工芸」

日本の美意識を映し出す現代の工芸作品

新型コロナウイルス感染症により美術館・博物館・ギャラリーなどに気軽に足を運べなくなってしまいました。

そんな状況下に負けじと感染症対策をきちんと行いながら、運営に努める施設関係者への思いに応えられるように、一人でも多くの方が美術館を訪れるきっかけになること考え、美術館・博物館・ギャラリーの様子を伝える【ミュージアムレポート】をスタートすることとなりました。

そのような経緯から、今回はその第三弾として、パナソニック汐留美術館 特別企画「和巧絶佳展 令和時代の超工芸」をご紹介します。


現在、パナソニック汐留美術館 にて開催中の特別企画「和巧絶佳展 令和時代の超工芸」。

本展覧会では、日本の美意識を手仕事で示し、工芸で新しい表現を試みている、新進気鋭の作家12人の作品がご覧になれます。

グローバル時代をむかえ、取り巻く物の均質化が進むなか、日本各地で育まれてきた工芸や手仕事が、独自の表現を生み出す資源として見直されています。

工芸というジャンルにとらわれることなく、工芸素材を用い、工芸技法を駆使し、工芸美を探求する、出品作家の取り組みは、人と物との関係を問い直すとともに、手仕事の可能性の広がりを予感させます。

作家の手により生み出された作品は、現代美術、デザイン、工芸の粋を超えた、新しい日本の美と言えるでしょう。

会場では、「和巧絶佳」のタイトルのとおり、現在の日本における工芸的な作品を、3つの傾向で紹介しています。

日本の伝統文化の価値を問い直す「和」の美の章では、花魁の高下駄をモチーフにした靴をレディー・ガガが着用したことで世界的に有名になった舘鼻則孝さんの「Heel-less Shoes」をはじめ、ポップな色彩で器の概念を覆す不思議な表情の作品を生み出す桑田卓郎さんや、アクリル絵具と透明樹脂を用いて今にも動き出しそうな金魚をモチーフにした作品を生み出す深堀隆介さんの作品が紹介されています。



つづく手わざの極致に挑む「巧」の美の章では、自身に馴染み深いアニメやサブカルチャーの要素を螺鈿や漆の伝統技法を用いて表現している、池田晃将さんの「電光十進玉箱」をはじめ、自ら生み出した抽象的な模様を加賀赤絵で描く九谷焼の大皿を手掛けた見附正康さん。見事な技術で人知を超えた世界を見せてくれます。平面に施された截金をガラスで挟んで溶接させ、三次元の表現として転換させている、截金ガラスの作品を生み出す山本茜さん、アルミの現物鋳造で制作した小花で動物の頭部を形成し、超絶技巧で薄いピースを積み重ねる、尊く美しい独自の死生観を表現する髙橋賢悟さんの作品を展示しています。




最後の工芸素材の美の可能性を探る「絶佳」の章では、透かした繊細な模様が光を広く受けて際立つ器、新里明士さんの「光器」をはじめ、オブジェとしても現代の生活に馴染む鉄瓶を手掛けた坂井直樹さん、絞り染めによる発色豊かなテキスタイルを生み出した安達大悟さん、上質な貝と確かな技術に裏打ちされた華やかな色彩が見事な漆工品の逸品を生み出す橋本千毅さん、生きているような表情を陶磁器に与える鋳込み成形を用いた佐合道子さんの作品が並んでます。




展示作品のどれもが息を飲むほどの美しさと驚きの超絶技巧。

映像やデジタル技術を駆使したさまざまな表現が増加するなか、作家の手により生み出された表現が改めて注目されています。

現代美術、デザイン、工芸の粋を超えた、人が作り出す新しい日本の美から、新しい工芸の兆候を示すだけでなく、受け継がれてきた手仕事の可能性を考える、とても貴重な体験となることでしょう。

また会期中には、制作意図や作家が考える日本の美について語られるアーティストトークや、工芸家の“あるある”などが聞けるトークショーが企画されているので、イベントに参加して作品理解を深める機会にしてみてはいかがでしょうか。

新しい表現に触れられる本展覧会に、ぜひ足を運んでみてください。

取材・執筆・撮影:新 麻記子

特別企画「和巧絶佳展 令和時代の超工芸」

会期:7月18日(土)〜2020年9月22日(火・祝)
会場:パナソニック汐留美術館
時間:10:00〜18:00(最終入場時間 17:30)
   ※8月7日(金)、8月28日(金)、
    9月4日(金)は夜間開館20:00まで(最終入場時間 19:30)
休館日:7月22日(水)、8月12日(水)~14日(金)、8月19日(水)、9月9日(水)、9月16日(水)
HP:https://wakozekka.exhibit.jp/