【横浜美術館】横浜美術館リューアルオープン記念展『おかえり、ヨコハマ』

アイティーエル株式会社では、一人でも多くの方が美術館や博物館を訪れるきっかけとなるべく、2020年7月より【ミュージアム・レポート】を開始いたしました。

困難な状況下においても美術館・博物館ではさまざまな企画や対策をおこなっていることから、全てのアートシーンに対してこれからも変わらず応援していくべく、アイティーエルも継続して情報を発信していきたいと思います。

今回は全館リューアルオープンを迎えた横浜美術館にて開催中の横浜美術館リューアルオープン記念展『おかえり、ヨコハマ』(会期:開催中〜2025年6月2日(月))をご紹介します。

本展覧会について

プレス内覧会の様子

2025年2月8日(土)、全館リューアルオープンを迎えた横浜美術館。

これを記念して、「横浜」をキーワードにさまざまな人々を迎え入れたいという想いを込め、「おかえり、ヨコハマ」展を開催します。

本展では、新しい船出となるこの機会に、「多様性」という観点のもと、横浜にまつわる絵画、写真、工芸、映像などの作品や資料を通じて、新たな視点で意外な横浜の歴史を深掘り!

加えて、同館コレクションの名作の数々とともに、横浜市歴史博物館、横浜開港資料館、横浜都市発展記念館、横浜市民ギャラリーなど、主に市内の施設が所蔵する、コレクションへのまなざしを豊かにしてくれる作品や資料も展示されます。

丹下健三の構造を引き継ぐ

プレス内覧会の様子

横浜美術館は、1989年に丹下健三の設計によって開館しました。

今回のリニューアルでは、来場客を迎え入れる広大なエントランスホール「グランドギャラリー」を中心とする無料エリアを「じゆうエリア」として整備。

ガラス張りの天井は自然光が入るようになり、エントランス正面の円形のエリアは「まるまるラウンジ」として、作品や建築を見ながらカフェの飲み物を持ち込んでくつろげるエリアとなりました。また、無料エリアは展示室前のホワイエまで拡張され、子供から大人まで自由に過ごせる場所として人々を迎え入れます。

今回のリニューアルで無料エリアの拡張に力を入れた背景には、美術館建設時に人々に自由に使ってもらう「広場」として美術館を構想し、丹下が36年前に作った「使い道を定めない自由な空間」を可視化するという狙いがあったそうです。

プレス内覧会の様子

また、館内をめぐると新たに作られた可愛らしいピンクの椅子、テーブル、サイネージなどは、建築家の乾久美子、アートディレクター/グラフィックデザイナーの菊地敦己によるもの。

かわいらしいピンク色が館内のさまざまな場所で目を引きますが、横浜美術館の建物のメイン素材である御影石から着想し、ピンクをはじめとしたさまざまな色がキーカラーとなったのだそうです。

アートから新しい横浜を再発見!

宮川香山(初代)《高浮彫牡丹ニ眠猫覚醒大香炉》 明治前期 陶磁器 H29.7cm  田邊哲人コレクション(横浜美術館に寄託)

横浜美術館館長・蔵屋美香の就任後初となる、館長自らの企画による「おかえり、ヨコハマ」展は、縄文時代から現代まで、アートを通して見えてくる新しい横浜の姿を再発見する試みです。

会場は「第1章 みなとが、ひらく前」「第2章 みなとを、ひらけ」「第3章 ひらけた、みなと」「第4章 こわれた、みなと」「第5章 また、こわれたみなと」「第6章 あぶない、みなと」「第7章 美術館が、ひらく」「第8章 いよいよ、みなとが、ひらく」の全8章で構成されています。

同館が誇る1万点以上のコレクションより、出品作品の8割ほどがコレクションで構成されおり、縄文時代や弥生時代の土偶や埴輪などから、横浜の風景を描いた横浜浮世絵、開国、関東大震災、横浜空襲、戦争、米軍などの歴史上の史実を追う絵画や写真、セザンヌ、ピカソ、マグリットや奈良美智など、近代美術の名作から現代美術の作品まで横浜美術館コレクションの数々を久しぶりに楽しむことができます。

展示風景(横浜美術館・横浜美術館リニューアルオープン記念展「おかえり、ヨコハマ」より)

じつに幅広い時間軸、ジャンルの作品・資料を通して、新たな横浜の姿が見えてくることでしょう。

中でも、開港前に横浜に暮らした人々や、女性、子供など、これまであまり注目されてこなかった存在にも光を当て、さまざまな人々が住み、行き交ってきた、横浜の歴史をたどる多様な作品群は必見!

さらに、子どものために作品を選び、見やすいよう工夫して展示する、「子どもの目でみるコーナー」を会場内に設け、親子でお話ししながら鑑賞する仕掛けも用意されています。

最後に

展示風景(横浜美術館・横浜美術館リニューアルオープン記念展「おかえり、ヨコハマ」より)

本展覧会タイトルは、「3年ぶりに横浜美術館が帰ってきた」という意味と、「異なる時代にいろいろな地域からやってきて横浜に暮らした(あるいは現在暮らす)さまざまな人たちを、あらためて『おかえり』と言って迎え入れたい」という希望が込められているのだそう。

筆者の誕生年に美術館が開館し、現在も横浜に身を置く者として、コロナで再オープンが延期されるなどハラハラもしたが、装いが新になった館内や本展に込められたメッセージを受け取り、胸がいっぱいになった…これからも行末を見守っていきたいと思います。

【情報】
横浜美術館リニューアルオープン記念展「おかえり、ヨコハマ」
会期:2025年2月8日〜6月2日
会場:横浜美術館
住所:神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1
電話番号:045-221-0300(10:00~18:00、休館日を除く)
開館時間:10:00~18:00 ※入館は17:30まで
休館日:木(ただし3月20日は開館)、3月21日
料金:一般 1800円 / 大学生 1500円 / 高校・中学生 900円 / 小学生以下無料
ホームページ:https://yokohama.art.museum/exhibition/202502_welcome_back_yokohama/