【東広島市立美術館】「生誕160年記念 グランマ・モーゼスー素敵な100年人生」

地域性を考えた広報物のデザインや会場構成の工夫が楽しめた巡回展

新型コロナウイルス感染症の変異株により、日々増加傾向にある感染者数に伴いまして、美術館、博物館、ギャラリーなどの文化施設に、気軽に訪れられない日々が続いています。

現在、新しい生活様式のもと検温や消毒など徹底した感染症対策を行いながら、運営に努める施設関係者の思いに応えられるように、一人でも多くの方が美術館を訪れるきっかけとなるべ く、展覧会の模様を伝える【ミュージアム・レポート】をスタートしました。

そのような経緯から東広島市立美術館で開催していた「生誕160年記念 グランマ・モーゼス展ー素敵な100年人生」をご紹介します。

東広島市立美術館は、市民の暮らしと芸術文化の接点となり、東広島市独自の文化を醸成し、地域と世界へ繋がるプラットフォームとしての役割を担う美術館になることを目指しています。

その活動は、美術作品の収集・保存・活用から、優れた創作活動を展開する作家やその作品を紹介するための特別展、関連した講演会やワークショップのイベントに加え、学芸員による作品解説など多岐に及びます。

また、東広島市立美術館のコレクションは、「近現代版画」「現代陶芸」「郷土ゆかり」を中心に継続的な作品収集をしているそうです。

この度、東広島市立美術館にて取材させていただいた本展覧会は、世田谷美術館をはじめ、他美術館などで開催されていた「生誕160年記念 グランマ・モーゼス展ー素敵な100年人生」の巡回展です。

展示室では、広々とした開放的な空間を生かし、ひとつひとつ、作品と向き合い、ゆったりと鑑賞することができました。

また、世田谷美術館ではグランマ・モーゼスの言葉を展示壁に掲載していましたが、東広島市立美術館では約5mほどある高い天井部を生かして、天井から垂幕を吊るすなどの工夫がされていたのが印象的でした。

東広島美術館の目の前にある公園では、大人から子どもまで思い思いに過ごしている光景があります。

ポスターやフライヤーのメインビジュアルは、《家族のピクニック》の作品が採用されたそうです。そういった西条中央を考えたデザインにしていることも、東広島市立美術館ならでは。

自然の穏やかさと過酷さの両方に敬意を表しつつ、物事を受け入れながらも環境に順応していくグランマ・モーゼスの人生のように、会場が違えば、見せ方を変える、そういったことを体験できるのも巡回展の素晴らしさであると感じました。

東広島市立美術館では、今後もコレクション展だけでなく、さまざまな企画展が予定されています。

ぜひ地域に根差している東広島市立美術館を訪れてみてはいかがでしょうか?

取材・撮影・文:新麻記子

【情報】※この展覧会は終了しています。
グランマ・モーゼス展―素敵な100年人生
会期:2022年4月12日(火)~5月22日(日)
時間:9:00~17:00(入館は閉館30分前まで)
会場:東広島市立美術館 3階展示室、2階展示室
住所:広島県東広島市西条栄町9-1

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