横尾芸術の全貌を見渡せる最大規模の展覧会!
まだまだ新型コロナウイルス感染症により、美術館、博物館、ギャラリーなどの文化施設に、気軽に訪れられない日々が続いています。
しかし、そんな状況下に負けじとオンラインチケットで密を防ぎ、検温や消毒など徹底した感染症対策を行いながら、運営に努める施設関係者の思いに応えられるように、一人でも多くの方が美術館を訪れるきっかけとなるべく、展覧会の模様を伝える【ミュージアム・レポート】をスタートしました。
今回は、東京都現代美術館にて開催している「GENKYO 横尾忠則 原郷から幻境へ、そして現況は?」をご紹介します。
1960年代から第一線で活躍し、世界中を魅了しつづけてきた、アート界のレジェンド、横尾忠則。これまでめまぐるしくスタイルの変遷を重ねながら、森羅万象あらゆるものをモティーフとして、おびただしい数の作品を生み出してきました。
本展覧会では、去年から今年にかけてコロナ禍のなか描かれた問題作ともいえる新作30点を含め、絵画を中心としながらも初期のグラフィック作品も加えた600点以上の作品が出品されます。
会場では章解説を展覧会ガイド(ハンドアウト)で読みながら、作品タイトルを手がかりにじっくりと作品を鑑賞していきます。
しかし、そんな説明が不要と言えるほどの圧倒的な画力で見せつけられる数々の作品…神話や映画、美術史などから引用されたイメージと、自身が大切しているテーマが複雑に組み合わさり、ポストモダン絵画の到達とも言えます。
特に注目して欲しいのが横尾氏の代表作《Y字路》シリーズ。自身が幼少期に通った模型屋が取り壊された跡地を撮った写真に、個人的なノスタルジーを超えた普遍性を感じたことをキッカケに生まれたのだそう。
昼間のY字路、夜間のY字路、さまざまなヴァリエーションで描かれています。懐かしさとよそよそしさを併せ持ちながらも、時代に置き忘れられたかのような岐れ道を目にし、Y字路に引き込まれてしまいそうになる不思議な作品です。
そんな横尾氏の原点に触れられるアーカイヴコーナーでは、自身が5歳時に講談社絵本『宮本武蔵』の挿絵を描き写したなかの一枚から、横尾芸術を特徴付けている模写やコラージュといった2つの重要な要素が感じ取れることでしょう。
幼少期から80年にも渡って創造しつづけている横尾忠則。横尾芸術の真髄、ダイナミックな展開を、心うちふるえるまでに体感できる画期的な内容を堪能しに、ぜひ最大規模となる本展覧会に足を運んでみてくださいね。
取材・執筆・撮影:新麻記子
【情報】
GENKYO 横尾忠則
原郷から幻境へ、そして現況は?
会期:2021年7月17日~10月17日
会場:東京都現代美術館
住所:東京都江東区三好4-1-1
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10:00~18:00(展示室入場は閉館30分前まで)※最新情報は、美術館または展覧会ウェブサイトにて要確認
休館日:月(7月26日、8月2日、8月9日、8月30日、9月20は開館)、8月10日、9月21日
HP:https://genkyo-tadanoriyokoo.exhibit.jp/