【東京都現代美術館】クリスチャン・マークレー トランスレーティング[翻訳する]

アート×音楽 ユーモアなアプローチで世界を読み解く!

展示風景より 奥:《エフェメラ》(2009) 手前:《グラフィティ・コンポジション》(2002)

新型コロナウイルス感染症の状況が落ち着き、なかなか気軽にとまではいきませんが、美術館、博物館、ギャラリーなどの文化施設に、訪れられるようになりました。

現在、新しい生活様式のもとオンラインチケットで密を防ぎ、検温や消毒など徹底した感染症対策を行いながら、運営に努める施設関係者の思いに応えられるように、一人でも多くの方が美術館を訪れるきっかけとなるべ く、展覧会の模様を伝える【ミュージアム・レポート】をスタートしました。

そのような経緯から、東京都現代美術館にて開催中の「クリスチャン・マークレー トランスレーティング[翻訳する]」展をご紹介します。

展示風景より 《リサイクリング・サークル》(2005)の一部

展示風景より 「掛軸」シリーズ(2011)

1955年、アメリカ・カリフォルニア州に生まれ、スイス・ジュネーヴで育ったクリスチャン・マークレー。

彼は、70年代末のニューヨークでターンテーブルを使ったパフォーマンスで音の実験を始めて以来、前衛的な音楽シーンの重要人物として活躍してきました。

一方で、視覚的な情報としての音や、現代社会において音楽がどのように表象され、物質化され、商品化されているかといったテーマに焦点を当てた活動により、現代美術と音楽を繋ぐ、最も人気があり影響力を持った作家とみなされてきました。

レコード、CD、コミック、映画、写真など、幅広いファウンドメディアを再利用しつつ、マークレーはこれまで、パフォーマンス、コラージュ、インスタレーション、ペインティング、写真、ビデオなど数多くの作品を生み出してきました。

展示風景より 「アブストラクト・ミュージック」シリーズ(1989-90)

展示風景より

日本の美術館で開催される初の大規模な個展である本展では、彼のアートと音楽の交差点のような多様で折衷的な実践をご紹介します。

会場では、コンセプチュアル・アートやパンク・ミュージックに影響を受けた初期作品から、イメージと音の情報のサンプルを組み立てた大規模なインスタレーション、さらには現代社会に蔓延する不安を映し出した最新作までを展示。

視覚と聴覚の経験の等価性を追求し、ある感覚を別の感覚に置き換え、世界を読み解こうとするマークレーは、その“翻訳”という営みのなかにある創造的な可能性と矛盾について探求します。

そして、人間のコミュニケーションがいかに不確かなものであるかを明らかにし、彼は鋭い観察眼(耳)と控えめなユーモアをもって、私たちが日ごろ当たり前のものとしている感覚や認識へと光を当てていきます。(展覧会リリースより引用)

展示風景より 「ボディ・ミックス」シリーズ(1991-92)

展示風景より 「叫び」シリーズ(2018-19)

音と視覚、日常の事物と芸術、情報と物質、そして異文化の間を行き来しながら作品を生み出すマークレー。

音楽、アート、マンガ、映画、街のグラフィティまで、彼が既存の世界をどのように翻訳し、リミックスしてきたのか、その多岐にわたる活動の全貌をご覧になれる本展覧会に足を運んでみてはいかがでしょうか。

会期中には、日本在住の音楽家が彼の「グラフィック・スコア(図案楽譜)」を翻訳し演奏する関連イベントも開催するので、そちらも合わせてチェックしてみてください。

取材・撮影・文:新麻記子

【情報】
クリスチャン・マークレー トランスレーティング[翻訳する]
会期:2021年11月20日〜2022年2月23日
会場:東京都現代美術館 企画展示室1F
住所:東京都江東区三好4-1-1
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10:00~18:00(展示室入場は閉館30分前まで)※最新情報は、美術館または展覧会ウェブサイトにて要確認
休館日:月(1月10日、2月21日は開館)、年末年始(12月28日〜1月1日)、1月11日
料金:一般 1800円 / 大学生・専門学校生・65 歳以上 1200円 / 中高生 600円 / 小学生以下無料
HP:https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/christian-marclay/v