【世田谷美術館】生誕160年記念 『グランマ・モーゼス展 ー素敵な100年人生』

「始めるのに遅すぎることはない」という言葉に象徴されるグランマ・モーゼスの生き方

新型コロナウイルス感染症の状況が落ち着きつつあり、なかなか気軽にとまではいきませんが、美術館、博物館、ギャラリーなどの文化施設に、訪れることができるようになりました。

現在、新しい生活様式のもとオンラインチケットで密を防ぎ、検温や消毒など徹底した感染症対策を行いながら、運営に努める施設関係者の思いに応えられるように、一人でも多くの方が美術館を訪れるきっかけとなるべ く、展覧会の模様を伝える【ミュージアム・レポート】をスタートしました。

そのような経緯から、世田谷美術館にて開催している『生誕160年記念 グランマ・モーゼス展 素敵な100年人生』をご紹介します。

四季折々の風情が美しい、緑豊かな砧公園の一角にある、世田谷美術館。

“芸術とは何か”という根源的なテーマのもと、幅広い視野の様々な展覧会や、プログラム、イベントを企画しています。

そんな気持ち良いアートとの出会いの場を提供してくれている世田谷美術館にて開催中の生誕160年記念『グランマ・モーゼス展 ー素敵な100年人生』では、絵を描くおばあさんとして知られ、アメリカの国民的画家といわれる、グランマ・モーゼスの作品が展示されています。

グランマ・モーゼスは20世紀の半ばにアメリカで最も成功をおさめたアーティストのひとり。

農場の主婦であった彼女がリウマチの悪化で得意の刺繍絵が上手くいかなり、針から絵筆に替えて絵画制作をスタートさせたのは70歳を過ぎてからのこと。

農場をとりまく風景や生活を素朴な筆致で描いた作品により人気作家となりますが、農家の主婦としての暮らしをまもり、101歳で亡くなる年まで描きつづけました。

まさに「始めるのに遅すぎることはない」という言葉に象徴されるその生き方を紹介しています。

会場では、最初期の作品から100歳で描いた絶筆、また愛用品ほか関連資料まで、日本初来日を含む約130点を展示。

第1章ではグランマ・モーゼスの人物像に迫り、第2章では家族や村の人々との素朴な日常の暮らし、第3章では心温まる季節ごとの特別なイベント、第4章では変わらぬ美しい自然を描いた作品がご覧になれます。

長い人生のなかで培われた彼女の智慧は、日常の暮らしのなかにある些細な変化に気づくことの大切さ、そして自然との調和をもって生きることが必要だと教えてくれているかのようでした。

そして、コロナ禍という脅威から顕になってしまった人間の弱さから、人と人との繋がりを持つことの重要性にも気付かされます。

ぜひ心温まる作品の裏側にある彼女のさまざまなメッセージに触れてみてくださいね。

取材・撮影・文:新麻記子

【情報】
生誕160年記念『グランマ・モーゼス展 ー素敵な100年人生』
会期:2021年11月20日(土)~2022年2月27日(日)
※日時指定制《日時指定券のご予約・ご購入はこちら》
招待券・招待状はがきをお持ちの方も日時指定が必要です。
11月20日(土)~12月28日(火)ご入場分:10月26日(火)12:00より受付
1月4日(火)~1月30日(日)ご入場分:11月25日(木)12:00より受付
2月1日(火)~2月27日(日)ご入場分:12月25日(土)12:00より受付
会場:世田谷美術館 1階展示室
開館時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)
休館日:毎週月曜日(祝・休日の場合は開館、翌平日休館)、12/29(水)~1/3(月)
※1月10日(月・祝)は開館、翌1月11日(火)は休館