【うらわ美術館】うらわ美術館開館22周年「芸術家たちの住むところ」展

浦和の地の奥行きと豊かさが感じられる本展覧会

新型コロナウイルス感染症の変異株により、日々増加傾向にある感染者数に伴いまして、美術館、博物館、ギャラリーなどの文化施設に、気軽に訪れられない日々が続いています。

現在、新しい生活様式のもとオンラインチケットで密を防ぎ、検温や消毒など徹底した感染症対策を行いながら、運営に努める施設関係者の思いに応えられるように、一人でも多くの方が美術館を訪れるきっかけとなるべ く、展覧会の模様を伝える【ミュージアム・レポート】をスタートしました。

そのような経緯からうらわ美術館にて開催中のうらわ美術館開館22周年「芸術家たちの住むところ」展をご紹介します。

展示入口

2000年春に開館したうらわ美術館は、「地域ゆかりの作家」と「本をめぐるアート」のコレクションを軸に、地元関連作家の顕彰に努めるとともに、本をテーマとする美術の収集・研究を主体としている、都市型美術館です。

うらわ美術館は、近代以降、さいたま市に居住し活動した、地域ゆかりの多くの美術家たちの優れた作品と、関連する国内外の作品を収集、保存、研究、展示。

アーティストによって制作された本や、本をテーマにした作品等、本をめぐる魅力あふれる美術作品を収集するとともに、身近でありながら広がりと奥行きをもつ本の造形世界を紹介し、特色ある美術館をめざしています。

これまで大、小のコレクション展や様々な企画展を開催し、より深く楽しく鑑賞できるよう、講演会や作品解説等、各種イベントも企画され、いつ来ても新しいアートの世界を堪能することができます。

2020年春、うらわ美術館開館20周年記念展である本展覧会が、新型コロナウイルス感染症対策に伴い開催中止。

しかし、これまで本展覧会の開催を目指してさまざまな代替プロジェクト「Art into Life」を展開させ、2年間の延期を経て美術と向き合う思いを新たに、構成内容や出品作品は当初の記念企画規模で実現させました。

本展覧会は、多くの芸術家が集い数々の作品が生まれたこの土地を改めて見つめ直すものです。

いつの頃からか「鎌倉文士に浦和絵描き」という言葉が聞かれるようになりました。

1923年の関東大震災後、東京から幾人かの芸術家がさいたま市の浦和地域に移り住んだことが背景として挙げられますが、他にもこの土地が絵描きの街となったさまざまな要因があります。

本展では各地の美術館や関係機関の所蔵作品と当館収蔵品を交え、芸術家同士の繋がりや様々なエピソード、時代状況等をたどりながら、この土地に集った芸術家たちの作品やその背景をひも解いていきます。

芸術文化をつないできた芸術家たちの足跡、そして彼らが活躍の場を広げていった様子を、100タイトルを超える作品、資料とともに前期と後期の二期に分けて展覧します。

今回、取材させていただいた前期展では、セクション1では地域の風景とその地に暮らした人々をテーマにした作品を、セクション2では戦前・戦中の作品を展示していました。

キャプションに記載している画家の経歴を追うことで、影響を受けた人物やジャンルが想察することができ、芸術家たちがそれぞれの作品に写しとったこの風景や人々の営みには、芸術家ならではのユニークな視点や愛着を感じることができます。

そのことから今まで気づかなかった土地の魅力を発見したり、今では失われてしまった風景に想いを馳せてみたり、地域性に重点を置いた内容で美術作品を生む土壌を改めて見つめ直せる楽しみ方ができます。

ぜひ浦和の地の奥行きと豊かさが感じられる展覧会に足を運んでみてください。

取材・撮影・文:新麻記子

【情報】
美術館開館22周年「芸術家たちの住むところ」
会期:前期4月23日(土曜日)~6月19日(日曜日) :セクション1、2
   後期6月28日(火曜日)~8月28日(日曜日) :セクション1、3
会場:うらわ美術館
時間:10:00〜17:00 (最終入場時間 16:30)
    金・土は20:00まで(最終入館時間 19:30)
休館日:月曜日
    6月20日~6月27日、7月19日
    ※ただし7月18日は開館
ホームページ:https://www.city.saitama.jp/urawa-art-museum/exhibition/whatson/exhibition/p086245.html