【アーティゾン美術館】『琳派と印象派 東西都市文化が生んだ美術』

日本とヨーロッパが育んだ洗練された美意識に注目!

新型コロナウイルス感染症により美術館・博物館・ギャラリーなどに気軽に足を運べなくなってしまいました。

そんな状況下に負けじと感染症対策をきちんと行いながら、運営に努める施設関係者への思いに応えられるように、一人でも多くの方が美術館を訪れるきっかけになることを考え、美術館・博物館・ギャラリーの様子を伝える【ミュージアム・レポート】をスタートすることとなりました。

そのような経緯から、今回はアーティゾン美術館にて開催中の『琳派と印象派 東西都市文化が生んだ美術』をご紹介します。

今年、時代を切り拓く「創造の体感」をコンセプトに掲げ、開館したアーティゾン美術館(旧ブリヂストン美術館)。

現在、約2800点以上もの美術作品をコレクションしています。

日本の洋画家である黒田清輝、藤田嗣治、藤島武二、坂本繁二郎、青木繁といった日本近代美術作品をはじめとし、印象派の主要画家であるクロード・モネ、ピエール=オーギュスト・ルノワール、ポール・セザンヌ、ポール・ゴーガン、20世紀美術の巨匠パブロ・ピカソ、アンリ・マティス、彫刻家のオーギュスト・ロダン。

その他、ヴァシリー・カンディンスキー、パウル・クレー、ジャクソン・ポロックといった海外抽象画家から、堂本尚郎、川端実、菅井汲、白髪一雄といった日本抽象画家、さらには、古代ギリシア、ローマ、エジプトの彫刻・工芸品といった、幅広いジャンルで数々の作品を収蔵しています。

クロード・モネ 《黄昏、ヴェネツィア》1912年頃 石橋財団アーティゾン美術館蔵

ベルト・モリゾ《バルコニーの女と子ども》1872年 石橋財団アーティゾン美術館蔵

現在、アーティゾン美術館で開催している『琳派と印象派 東西都市文化が生んだ美術』。

本展覧会では、休館中の2015年以降に収集した新所蔵作品や日本美術史に輝く名作をご覧になれるだけでなく、日本とヨーロッパの東西の都市文化が育んだ洗練された美意識を比較しながら見渡す試みです。

琳派は、17世紀初めの俵屋宗達、18世紀初めの尾形光琳らによって、日本の都であった京都の町人文化として生まれ、19世紀初めに酒井抱一や鈴木其一らによって、将軍お膝元の江戸(現在の東京)に引き継がれ、装飾的な美感を核として発展した都市美術でした。

一方、印象派は、19世紀後半のフランス・パリを中心とし、マネやモネ、ドガやルノワール、セザンヌらによって、日常的な経験を通して受ける印象や市⺠生活の喜びを率直に表現する、新しく起こったヨーロッパの近代美術です。

当館コレクションの核となる印象派の名画と、初公開となる琳派作品を軸に、国内の寺院、美術館、博物館から代表的な作品を加えた、国宝2点、重要文化財7点を含む約100点の作品で構成されます。

《洛中洛外図屛風》 江戸時代 17世紀 石橋財団アーティゾン美術館蔵

展示風景

展示構成は、序章「都市の様子」、第1章「the 琳派」、第2章では「琳派印象派」、第3章「the 印象派」、終章「都市を離れて」。

筆者が特に面白いと感じたのは、第2章「琳派と印象派」のコーナー。

「水の表現」では琳派と印象派の作品から水面の捉え方を比較することで、東の日本と西のヨーロッパで、自然の捉え方や文化の相違から、それぞれの美意識を感じることができます。

また、日本の扇子から影響を受けたであろう「扇型」の作品では、日本では花木草花などの自然が描かれているのに対して、ドガは自身が題材としているヨーロッパの生活風景を描き、そこでも文化の相違からなるテーマ性を汲み取ることができるでしょう。

展示作品からそういった比較や類似を見つめてみると、作家の何を美しいと捉えていたのか、どんな視点で物事を捉えていたのか、当時の洗練された美意識を反映した作品を通じて、いろんな想像を膨らませることができます。

展示風景

エドガー・ドガ《踊り子》1879年頃 和泉市久保惣記念美術館

本展覧会では、筆者があげた上記のものだけでなく、さまざまな発見ができることでしょう。

展覧会スペシャルサイトから、監修者による小林忠氏による解説動画が見られます。また、アーティゾン美術館公式YouTubeチャンネルにて配信予定。監修者が展覧会を紹介する土曜講座「琳派と印象派」や、学芸員による作品解説がご覧になれるギャラリートークもあわせてチェックしてみてください。

新所蔵作品や日本美術史に輝く名作を通じて、日本とヨーロッパの東西の都市文化が育んだ、洗練された美意識を比較し、見渡しながら、いろんな発見をしてみてはいかがでしょうか。

クロード・モネ《睡蓮の池》1907年 石橋財団アーティゾン美術館蔵

左:ポール・セザンヌ 《サント=ヴィクトワール山と シャトー・ノワール》1904–06年頃 石橋財団アーティゾン美術館蔵
右:鈴木其一《富士筑波山図屛風》江戸時代 19世紀 石橋財団アーティゾン美術館蔵

取材・執筆・撮影:新 麻記子

『琳派と印象派 東西都市文化が生んだ美術』

会場:アーティゾン美術館 (6階・5階展示室)
会期:11/14(土)~2021/1/24(日)
前期 : 11/14(土)~12/20(日)
後期 : 12/22(火)~1/24(日)
※本展では展示替えがあります。展示期間をご確認のうえ、ご来館ください。
時間:10:00~18:00
(毎週金曜日の20:00までの夜間開館は、当面の間休止を予定しています。最新情報は公式サイトをご確認ください)
※入館は閉館30分前まで
休館:月曜日(1/11は開館)、年末年始(12/28~1/4)、1/12

【同時開催】
2020/11/3(火・祝) ~ 2021/1/24(日)
石橋財団コレクション選 (4階展示室)
特集コーナー展示|青木繁、坂本繁二郎、古賀春江とその時代 久留米をめぐる画家たち