【東京都現代美術館】「デイヴィッド・ホックニー展」

「デイヴィッド・ホックニー展」展示風景より、東京都現代美術館 2023年
   《ウォーター近郊の大きな木々またはポスト写真時代の戸外制作》(2007)テート蔵 © David Hockney

2020年、猛威を振るった新型コロナウイルス感染症により、美術館、博物館、ギャラリーなどの文化施設に、なかなか訪れられない日々が続きました。

しかし、新しい生活様式のもと事前予約をはじめ、検温や消毒など徹底した感染症対策を行い、運営に努める施設関係者の思いに応えられるように、一人でも多くの方が美術館を訪れるきっかけとなるべく、展覧会の模様を伝える【ミュージアム・レポート】をスタートしました。

そのような経緯から東京都現代美術館にて開催される「デイヴィッド・ホックニー展」をご紹介したいと思います。

デイヴィッド・ホックニーとは?

「デイヴィッド・ホックニー展」展示風景より、東京都現代美術館 2023年
   《自画像、2021年12月10日》(2021)作家蔵 © David Hockney

イギリスを代表する現代アーティストのデイヴィッド・ホックニーは、1960年代よりアメリカの西海岸でも活動し、20世紀の現代芸術を代表する1人として大きな影響を与え、最も多才なアーティストとしてその名を確立しています。

彼は、1937年イングランド北部のブラッドフォードに生まれ、同地の美術学校とロンドンの王立美術学校で学び、1964年ロサンゼルスに移住してからさまざまなアーティストと交流し、アメリカ西海岸の陽光あふれる情景を描いた絵画で一躍脚光を浴びました。

60年以上にわたり美術表現の可能性を探る試みをつづけ、現在はフランスのノルマンディーを拠点に、近年はiPadを用いて作品制作をおこなうなど、86歳を迎えても今尚精力的に新作を発表しています。

本展覧会について

「デイヴィッド・ホックニー展」展示風景より、東京都現代美術館 2023年
《2022年6月25日、(額に入った)花を見る》(2022)© David Hockney

日本では27年ぶりとなる大規模な個展では、イギリスで生まれたホックニーの60年以上にわたる、絵画、ドローイング、版画、写真、舞台芸術といった多彩な作品が会場を埋め尽くしています。

1960年代にアメリカの西海岸で描いた初期の代表作をはじめ、近年の集大成というべき故郷ヨークシャー東部の自然を描いた大型絵画のシリーズ、新型コロナウイルスによるロックダウン中にフランス北部のノルマンディーで描いた全長90メートルにも及ぶ新作まで、ホックニーの作品を全8章・120点余を紹介する、日本におけるこれまでで最も充実した内容です。

会場では想像をはるかに超える巨大で鮮やかな作品が揃い、歳を重ねても衰えることを知らず、常に新しい表現を探求しながら、「見る」喜びに満ちた数々の作品がご覧になれることでしょう。

日本では27年ぶりとなる待望の大型個展

「デイヴィッド・ホックニー展」展示風景より、東京都現代美術館 2023年
《スタジオにて、2017年12月》(2017)© David Hockney

デイヴィッド・ホックニーの国内の美術館における大型個展は、1996年以来、実に27年ぶりです。

欧米を中心に個展が相次いで開催され、2012年ロイヤル・アカデミー(ロンドン)での個展では60万人以上、2017年ポンピドゥー・センター(パリ)での個展でも60万人以上の来場者数を記録しています。

現在、世界で最も人気のある作家のひとりといえるホックニーによる、多数の代表作によって60年以上におよぶ画業をたどる本展は、日本におけるこれまでで最も充実したホックニー展となります。

近年の代表作〈春の到来〉シリーズ、日本初公開

「デイヴィッド・ホックニー展」展示風景より、東京都現代美術館 2023年
   《春の到来 イースト・ヨークシャー、ウォルドゲート 2011年》(2011)ポンピドゥー・センター蔵 © David Hockney

会場では、ホックニーの故郷であるイギリスのヨークシャー東部で2011年に制作された、幅10メートル、高さ3.5メートルの油彩画《春の到来 イースト・ヨークシャー、ウォルドゲート 2011年》(2011年)が、日本で初めて公開されます。

本展では、同じく日本初公開となる大判サイズのiPad作品12点とともに本作品を展示します。豊かな色彩感覚によって芽吹きの季節をダイナミックにとらえた会心作は必見です。

今を生きる画家ホックニーの世界を体感する

「デイヴィッド・ホックニー展」展示風景より、東京都現代美術館 2023年
   《ノルマンディーの12か月》(2020-21)作家蔵 © David Hockney

2023年に86歳を迎えてなお一層制作に打ち込み、自らの芸術を刷新しつづけるホックニー。60年以上にわたり現代美術の第一線で活躍し、新作を発表し続けるホックニーの「今」をご紹介します。

コロナ禍で制作された作品には、国や文化、世代の違いを越えて、同じ時代を生きている私たちにしか感じ取ることができないメッセージがあるはずです。

2023年だからこそ出会える作品の数々を、ぜひ直接会場で体感してみてください。

最後に…

「デイヴィッド・ホックニー展」展示風景より、東京都現代美術館 2023年 © David Hockney

一見するとポップでカジュアルで親しみやすいホックニーの作品は、積み藁や睡蓮を生み出したモネのように光の探求がみられるだけでなく、燃えるような色彩からゴッホを彷彿とさせるほか、ピカソのキュビズムからの影響が感じられるアングルなど、美術史に残る巨匠たちの影響を受けていることがわかります。

また、絵画への探究心から新たな手法を次々と試みるばかりでなく、アクリル、ポラロイド、そして近年のiPadといった、時代を象徴する新しい機器を積極的に取り入れ、自身の表現に生かしながら身近な世界をテーマとして描きつづけています。

80歳を超えた現在もその旺盛な活動は衰えることなく、変革を恐れずさらなる多作へとチャレンジし、日々進化を続ける現代アートの巨匠・ホックニーの活躍がご覧になれる本展覧会に足を運んでみてはいかがでしょうか。

取材・撮影・文:新麻記子

【情報】
デイヴィッド・ホックニー展
会期:2023年7月15日(土)~11月5日(日)
会場:東京都現代美術館 企画展示室1F/3
休館日:月曜日(7/17、9/18、10/9は開館)、7/18、9/19、10/10
開館時間:10時~18時(展示室入場は閉館の30分前まで)
※7/21、7/28、8/4、8/11、8/18、8/25(すべて金曜日)はサマーナイトミュージアムを開催。21時まで開館
観覧料:一般2300円  大学生・65歳以上1600円  中高生1000円 小学生以下無料
ホームページ:https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/hockney/index.html