アイティーエル株式会社では、新しい生活様式のもと感染症対策を行い、運営に努める施設関係者の思いに応 えられるよう、一人でも多くの方が美術館を訪れるきっかけとなるべく、2020年7月より【ミュージアム・レポート】を 開始しました。
困難な状況下においても美術館・博物館ではさまざまな企画や対策をおこなっていることから、全てのアートシーンに対してこれからも変わらず応援していくべく、アイティーエルも継続して情報を発信していきたいと思います。
今回、ご紹介するのはTOKYO NODE 45F GALLERY A/B/Cにて開催中の『蜷川実花展 : Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠 』です。
TOKYO NODE 45F GALLERY A/B/C
2023年10月に開業した虎ノ門ヒルズ ステーションタワーの高層部に位置するTOKYO NODE。
イベントホール、ギャラリー、レストラン、屋上ガーデンなどが複合する全く新しい情報発信拠点として、ビジネス、 アート、テクノロジー、エンターテインメントなどの領域を超え、リアルとデジタルの垣根をも超えた発信をしています。
地上45階、最高天井高15メートル、総面積約1,500平米の日本有数の展示空間を使用し、壁面の片方はガラスになっており、ふき抜けには東京の街並みがご覧になることができます。
写真家・映画監督である蜷川実花氏が、クリエイティブチームEiM(エイム)として挑み、空間の魅力を最大限に引き上げた内容を展開します。
蜷川実花とは? クリエイティブチームEiM(エイム)とは?
蜷川実花(にながわ・みか)は、日本の写真家・映画監督です。
クリエイティブ・ディレクターとしても活動しており、美術、芸術、写真、映像、デザインなどのアートディレクションや インスタレーションを手掛けています。
写真家としては、ひとつぼ展グランプリ、木村伊兵衛写真賞、大原美術館賞(VOCA展)など数々受賞。
映画監督としては、映画『さくらん』(2007)をはじめ、『ヘルタースケルター』(2012)、『Diner ダイナー』(2019)、 『人間失格 太宰治と3人の女たち』(2019)を手がけており、現在Netflixオリジナルドラマ『FOLLOWERS』が世界 190か国で配信中です。
クリエイティブチームEiM(エイム)は、写真家・映画監督の蜷川実花、データサイエンティストの宮田裕章、セットデザイナーのEnzoらで結成されたクリエイティブチームです。 プロジェクトごとに多様なチームを編成しながら、作品制作に取り組んでいるそうです。
本展覧会について
写真家・映画監督の蜷川実花がクリエイティブチームEiM(エイム)として挑む、圧倒的スケールの展覧会「蜷川実花展 Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠」。
会場では、『1.残照 (Afterglow of Lives)』から『11.Embrancing Lighs』まで、すべて本展のために制作した映像インスタレーション・写真、立体展示などで構成された11作品が一堂に会します。 蜷川実花にとって過去最大規模の光彩色の世界に飛び込める体験型展覧会です。
未来へとつなぐ旅のような展示構成
作品は何気ない日常の中にある一瞬の儚い美しさを永遠の存在として昇華しています。
展示は、コロナウイルスのパンデミックから自分、そして他者や社会を捉え直しながら、命の在り方を見つめ直すところからはじまり、隙間に差し込む光は多様な未来へと繋がりを示していきます。
そして、花咲くような感情との出会いや儚い命を巡る追憶を通し、これまでの時間の中で紡がれてきた人々の祈りを、未来へとつなぐ旅のような構成となっています。
会場内の作品は、すべてが本展のために制作された新作です。
幻想的な美しさに目を輝かせながら歩みを進めると、そこにはCG等を一切用いずに現実を切り取り、リアルな被写体で構成された映像インスタレーションが展示されています。
今回の展示で核となる映像インスタレーションの全てに共有しているのが、“夢のように見える美しい景色であっても全て現実の映像であること” そして、その大半は “人々の日常の延長線上にある何気ない場所で撮影されていること”です。
私たち鑑賞者に、何気ない日常の景色であったとしても、ほんの少しだけ見方を変えるだけで、全く違う美しさや情感に出会うことができることを示唆してくれています。
最後に
本展では、作品ごとに異なるチームメンバーが結集し、建築、音楽、舞台美術など各分野のプロフェッショナルらと共創しており、11作品群それぞれが個展であれば主作品となるレベルで制作されながらも、展覧会として互いに連結したひとつの体験に仕上げています。
各展示はTOKYO NODEの広大なギャラリースペースに合わせて制作されているため、他施設で同じ作品体験はできません。さらに都心に降り注ぐ外光すらも作品の一部に取り入れることで、訪れるたびに異なる表情を楽しむことができる設計となっています。
“巡回不可”、「地上200mからの東京」を借景にしたTOKYO NODEでしか見られないアート体験をぜひお楽しみくさい。
取材・撮影・文:新麻記子
【情報】
蜷川実花展 : Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠
会期:2023年12月5日(火)〜2024年2月25日(日) ※年末年始等休館日あり
会場:TOKYO NODE 45F GALLERY A/B/C
開催時間:日・月・水・木曜:10:00~20:00 火曜:10:00~17:00
金・土・祝前日:10:00~21:00
※最終入場は閉館時間の30分前まで※祝日は10:00~20:00
ホームページ:https://www.tokyonode.jp/events/202312-2/index.html