【渋谷区立松濤美術館】『デミタスカップの愉しみ 』展

約380点もの多彩なデミタスカップを展示!

まだまだ新型コロナウイルス感染症により、美術館、博物館、ギャラリーなどの文化施設に、気軽に訪れられない日々が続いています。

しかし、そんな状況下に負けじとオンラインチケットで密を防ぎ、検温や消毒など徹底した感染症対策を行いながら、運営に努める施設関係者の思いに応えられるように、一人でも多くの方が美術館を訪れるきっかけとなるべく、展覧会の模様を伝える【ミュージアム・レポート】をスタートしました。

そのような経緯から、今回は渋谷区立松濤美術館にて開催している『デミタスカップの愉しみ 』展をご紹介します。

16〜17世紀に東洋から西洋にもたらされた喫茶の文化は、その後のテーブルウェア、インテリア、装飾美術の発展に貢献しました。

ヨーロッパではテーブルウェアと食文化の様式が19世紀に確立しますが、その中でも異色な存在として現れたのが、濃いコーヒーを飲むためのデミタスカップ。

セットの一要素に限られることなく、カップ単体でも使用されたそうです。

本展覧会では、2000点以上のデミタスカップを所有する村上和美氏のコレクションより約380点を厳選して展示。

19〜20世紀にヨーロッパの名窯が産みだした、ジャポニスムの影響を受けたデミタスをはじめとし、アール・ヌーヴォーやアール・デコなどの当時の流行を反映したものや、日本の窯元でも輸出用に生産されたもの、“超絶技巧”とも言える繊細な装飾が施されたものなどを中心に多彩な作品をご紹介しています。

19世紀のヨーロッパでは中流階級が勃興し、彼らの間でコーヒー文化が浸透すると、焙煎・抽出技術も進展し、多様なコーヒーの楽しみ方が広がるにつれ、デミタスカップの需要も増え、様々なデザインが誕生しました。

その一方、19世紀半ばに開催された万博博覧会がきっかけとなり、日本の美術品が大ブームになったことにより、日本的なモチーフやデザインを発展させたデザインが生まれ、日本の窯元でも輸出用に生産されたカップ&ソーサーも人気を呼びました。

地下一階の「第1部:デミタス、ジャポニズムの香り」では、17世紀に始まるシノワズリの流行から、19〜20世紀において人気となったジャポニスムをはじめ、アール・ヌーヴォーやアール・デコを反映した、時代ごとのデミタスカップのデザインの変遷をたどっていきます。

さらに、明治以降にヨーロッパへの輸出製品として製作された、日本製のデミタスカップも併せて紹介しています。

続いて、地上2階の展示会場「デミタス、デザインの大冒険」では、デミタスカップの様々な装飾方法をはじめ、形、機能、デザインに着目した内容になっています。

清涼感際立つガラス製のデミタス、飲み物と食べ物を片手で持つことを考えて作られた機能的なセット、ユーモア溢れる大胆な形、超絶技巧ともいえる繊細華麗な装飾が施されたものなど、デザインへのあくなき探求が伝わってくることでしょう。

村上氏は、有名窯に限定せず、その創造性の輝く優品に注目して収集しているそうです。

カップの取手が動植物になっているもの、カップの内側に加飾を施しているもの。その一方でソーサーに美しい絵柄が描かれているもの、カップとソーサーの絵が一体となって構成されているものなど、一客、一客、個性豊かなデミタスカップを楽しめることでしょう。

ぜひ、あなたのお気に入りを見つけて、コーヒーを飲むことを想像しながら、デミタスカップをご覧になってみてくださいね。

取材・撮影・文:新麻記子

【情報】
『デミタスカップの愉しみ 』展
会期:2021年8月24日(火)~10月10日(日)
会場:渋谷区立松濤美術館
土・日・祝日及び10月15日(火)以降の最終週は「日時指定制」
休館日:月曜日(ただし、9月20日は開館)、9月21日(火)、24日(金)
HP:https://shoto-museum.jp/exhibitions/193demitasse/
日時指定や各種イベントなどはホームページや松濤美術館のSNSをご覧ください。