【東京シティビュー】「へザウィック・スタジオ展:共感する建築」

建築や建物の多様性を探求しつづけるへザウィック・スタジオ

2020年、猛威を振るった新型コロナウイルス感染症により、美術館、博物館、ギャラリーなどの文化施設に、なかなか訪れられない日々が続きました。

しかし、新しい生活様式のもと事前予約をはじめ、検温や消毒など徹底した感染症対策を行い、運営に努める施設関係者の思いに応えられるように、一人でも多くの方が美術館を訪れるきっかけとなるべく、展覧会の模様を伝える【ミュージアム・レポート】をスタートしました。

そのような経緯から、東京シティビュー(屋内展望台)にて開催中の「へザウィック・スタジオ展:共感する建築」をご紹介したいと思います。

写真:「ヘザウィック・スタジオ展:共感する建築」展示風景

360度の眺望を誇る東京シティビューは、高層ビルが林立するダイナミックな景観から、夜の闇に浮かび上がる光の海まで、都市という名のアートを鑑賞する展望ギャラリーです。

都心のほぼ中央に位置し、周囲に視界を遮る建物がないという恵まれた環境に立地するため、常に変貌し続ける都市の様相を一望することができます。

現在、東京シティビュー(屋内展望台)では、建築や建物の多様性を探求し、見ているとわくわくするデザインを生み出す、「へザウィック・スタジオ展:共感する建築」が開催されています。

写真:イントロ(入口) 展示風景

ヘザウィック・スタジオとは、ニューヨーク、シンガポール、上海、香港など世界各地で、建築、空間、革新的なプロジェクトを手掛ける、世界が熱い視線を集めているデザイン集団です。

創設者のトーマス・へザウィックは、子ども時代に心踊らせた職人の作った小さなものに宿る魂を、建築という大きな建物や空間にも込めることはできるのかという問いを原点としてスタジオを開きました。

英国で最も数多くの作品を手掛けている、デザイナーのひとりである20年超のキャリアのなかで、制作された多彩な作品群は、斬新さと独創性、人間味溢れるデザインが特徴です。

規模や場所、型式にとらわれることなく、さまざまなプロジェクトを手掛け、定説や定論よりも体験を尊重し、環境への負担を最低限に抑えつつ、人々の魂に訴えかけるような場所やモノを創り出しています。

写真:《上海万博英国館》2010年 上海

 

本展は、ヘザウィック・スタジオの主要プロジェクト28件を紹介する日本で最初の展覧会です。

モノや土地の歴史を学び、多様な素材を研究し、伝統的なものづくりの技術に敬意を払いながら、最新のエンジニアリングを駆使して生み出される空間は、誰も思いつかなかった斬新なアイデアで溢れています。

新型コロナウイルスのパンデミックを経て、私達が都市や自然環境との関係性を見直すなかで、ヘザウィック・スタジオのデザインは、来る時代に見合う、これまで以上に豊かな示唆を与えてくれるでしょう。

写真:セクション 3 展示風景

会場では、「ひとつになる」「みんなとつながる」「彫刻的空間を体感する」「都市空間で自然を感じる」「記憶を未来へつなげる」「遊ぶ、使う」の6つの視点で構成されています。

ヘザウィック・スタジオのデザインは、自然界のエネルギーや建築物の記憶を取り込み、都市計画のような大規模プロジェクトもヒューマン・スケールが基準となるという信念に基づいています。

その根底には、プロダクトや建築物というハードのデザインよりも、人々が心豊かで充実した空間体験を提供することで、持続的なプラスの効果を生み出していくことを目指しているからです。

《リトル・アイランド》2021年 ニューヨーク

写真:《ボンベイ・サファイア蒸留所》2014年 英国、ハンプシャー

創設者のトーマス・へザウィックはTEDにおいて、「近年の新しい建築はシンプルで個性がなく、そんな建物に囲まれていると退屈という病が蔓延し、精神的に悪影響をもたらしてしまう」と言っています。

確かに、都市部の建物は無気質で、どこかとっつきにくく感じ、本能的に苦手意識を持ってしまう気持ちが彼の発言から理解できました。

続けて、「自然界においても生物多様性が重要である、つまりそれは建築も同じです」と語っています。

その言葉は、利便性や機能性を重んじている現代の私達にとって、忘れさられた感情を思い起こさせ、多様性の重要性について、改めて考えさせられました。

ぜひ人々が集い、親しみ、楽しむという意図的配慮のもと、新しいアイデアを実現していく彼らの仕事から、人間の心を動かす優しさ、美しさ、知的な興奮、共感をもたらす建築に触れてみてください。

取材・撮影・文:新麻記子

ヘザウィック・スタジオ展:共感する建築
会期:2023年3月17日〜6月4日
会場:東京シティビュー(六本木ヒルズ森タワー52階)
住所:東京都港区六本木6-10-1
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00〜22:00 ※入館は21:00まで
休館日:会期中無休
料金:[当日] 一般 2000円(2200円) / 高校・大学生 1400円(1500円) / 4歳〜中学生 800円(900円) / 65歳以上 1700円(1900円) ※()内は土日祝価格
主催:森美術館
HP:https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/heatherwick/