【ポーラ美術館】ポーラ美術館開館20周年記念展 モネからリヒターへ―新収蔵作品を中心に

光に満ち溢れた珠玉のポーラコレクション!

新型コロナウイルス感染症の変異株により、日々増加傾向にある感染者数に伴いまして、美術館、博物館、ギャラリーなどの文化施設に、気軽に訪れられない日々が続いています。

現在、新しい生活様式のもとオンラインチケットで密を防ぎ、検温や消毒など徹底した感染症対策を行いながら、運営に努める施設関係者の思いに応えられるように、一人でも多くの方が美術館を訪れるきっかけとなるべ く、展覧会の模様を伝える【ミュージアム・レポート】をスタートしました。

そのような経緯から箱根・ポーラ美術館にて開催中の「ポーラ美術館開館20周年記念展 モネからリヒターへ―新収蔵作品を中心に」をご紹介します。

2002年9月6日に開館したポーラ美術館は、開館以来、ポーラ創業家二代目の鈴木常司(1930-2000)が戦後約40年をかけて収集したコレクションを公開し、これを基盤としてさまざまな企画展を開催してきました。

2012年の開館10周年を機に、当館は森の遊歩道の整備と開放、野外彫刻の設置、現代美術ギャラリーの開設、体験型の展示の開催、ラーニング・プログラムの実施など、その活動を広げてきました。

また、近年では従来のコレクションに加えて、20世紀から現代までの美術の展開を跡づけるために重要な作品の収集も行っています。

左:ゲルハルト・リヒター《抽象絵画(649-2)》1987年 油彩/カンヴァス 200.7×200.8 cm 右:クロード・モネ《睡蓮の池》1899年 油彩/カンヴァス 88.6 x 91.9 cm

本展では、館内の5つの展示室をはじめ、アトリウム ギャラリーとアトリウム ロビー、そして森の遊歩道を活用し、印象派やエコール・ド・パリ、それらに影響を受けた数々の日本洋画、そして近年収集にも力を入れている現代美術を展示。

従来のコレクションと新収蔵のコレクションから、ポーラ美術館の20年間の歩みとともに、未来へ進む姿勢にも目を向ける内容となっています。

開館20周年を迎え、記念すべき本展の主要なテーマは「光」。

「箱根の自然と美術の共生」を設立のコンセプトとするポーラ美術館にとって、「光」は建築や照明デザイン、そしてコレクションの重要なテーマにもなっています。

移ろう光を絵画に描き留めようとした19世紀の印象派の画家達、シャイン(光=仮象)を表現し続けるゲルハルト・リヒター、光の色そのものを写し撮る作品を展開する杉本博司など、印象派から現代まで「光」にまつわる作品を数多くご紹介します。

ロニ・ホーン《鳥葬(箱根)》2017-2018年 鋳放しの鋳造ガラス 高131.4×径142.2 cm ©Roni Horn

彼らの作品のなかで表現されている「光」は、単に造形的な意味だけでなく、現在を照らし出す「光」、道標となる「光」という意味も内包していると言えるでしょう。

コロナ禍や緊迫する国際情勢により暗雲が立ち込める現代の状況のなかで、作品からほとばしるエネルギーと勢い、そして多くの人に前進する勇気を与えてくれます。

ポーラ美術館の所蔵コレクションから「現在(いま)」をご紹介するとともに、美術館の未来とコレクションの可能性を探る本展覧会に足を運んでみてはいかがでしょうか。

取材・文:新麻記子

【情報】
ポーラ美術館開館20周年記念展 モネからリヒターへ―新収蔵作品を中心に
会期:2022年4月9日(土)~ 9月6日(火)
会場:ポーラ美術館 展示室 1~5、アトリウム ギャラリー、アトリウム ロビー、森の遊歩道(神奈川県箱根町仙石原小塚山1285)
時間:午前9時から午後5時まで(入館は午後4時30分まで)
休館日:会期中無休(悪天候による臨時休館ありため)
ホームページ:https://www.polamuseum.or.jp/sp/monettorichter/