【東京都現代美術館】「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展

75年以上にわたるクリスチャン・ディオールの創造の情熱を体験しよう!

新型コロナウイルス感染症の変異株により、日々増加傾向にある感染者数に伴いまして、美術館、博物館、ギャラリーなどの文化施設に、気軽に訪れられない日々が続いています。

現在、新しい生活様式のもと検温や消毒など徹底した感染症対策を行いながら、運営に努める施設関係者の思いに応えられるように、一人でも多くの方が美術館を訪れるきっかけとなるべ く、展覧会の模様を伝える【ミュージアム・レポート】をスタートしました。

そのような経緯から東京都現代美術館にて開催中の「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展をご紹介します。

1947年、42歳でファッション界にデビューしたフランスを代表するオートクチュールデザイナーであるクリスチャン・ディオール。

1957年に本人が亡くなるまでの活動期間は11年ですが、ブランドは継続し、メゾンは創業以来、今日までパリオートクチュール界のトップに君臨しています。

そんなクリスチャン・ディオールはウェアをはじめとし、バッグ、アクセサリー、ジュエリー、香水など幅広く展開し、世界中から愛される由緒あるファッションブランドです。

パリ装飾芸術美術館での成功につづき、ロンドン、N.Y.と世界を巡回し、ディオールと日本との真摯かつ貴重な絆を称える特別な展覧会「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展。

フロランス・ミュラー氏のキュレーションにより再考案され、創設者クリスチャン・ディオールが影響を受けた芸術から、彼の庭園に対する愛、豪華な舞踏会の魔法、ディオールのコレクションに最初から影響を与えていた日本の豊かな創造性への魅力を紹介しています。

空間演出はOMAのニューヨーク事務所でパートナーをつとめる建築家である重松象平が手掛け、日本文化へのオマージュとして新たな空間をデザインし、クリスチャン・ディオールの先駆的なビジョンから始まった75年以上にわたる創造の情熱を称えます。

会場では、ゆったりとなだらかな肩に細く絞ったウエストとフレアスカートが特徴である「ニュールック」の永遠の象徴である「バー」スーツをはじめとした、過去から現在までのアクセサリーやオートクチュール モデルの数々を展示。

クリスチャン・ディオールからはじまり、そしてイヴ・サン=ローラン、マルク・ボアン、ジャンフランコ・フェレ、ジョン・ガリアーノ、ラフ・シモンズ、マリア・グラツィア・キウリといった後継者である歴代のクリエイティブ ディレクターたちが考案した作品のひとつひとつが公開されています。

また、フリーランスデザイナーとしてヨーロッパで活躍したのち、衣服や人体を通して「人の存在」を撮影する写真家へと転身した高木由利子氏が、本展およびポスターのために撮り下ろした写真など、魅力的な写真作品も展示。

その他、東京都現代美術館が所蔵する貴重な絵画作品や彫刻作品との共演だけでなく、名和晃平、宮永愛子、井田幸昌などの現代アーティストの創造性と融合させた故ダイアナ元妃が愛用していたことで知られる「レディ ディオール」のインスタレーションもご覧になれます。

クリスチャン・ディオールがこの世を去るまで…10年間で販売した洋服は10万着、その間に手がけたデッサンは16,000枚、その先駆的なビジョンからはじまったメゾンは、今尚鑑賞者の私たちに感動を与えてくれます。

75年以上にわたる歴史と絶え間ない創造の情熱を称えている本展覧会に、ぜひ足を運んでみては如何でしょうか。

取材・撮影・文:新麻記子

【情報】
「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展
会期:2022年12月21日(水)- 2023年5月28日(日)
会場:東京都現代美術館 企画展示室 1F/B2F
休館:月曜日(1月2日、1月9日は開館)、12月28日-1月1日、1月10日
開館時間:10:00-18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)
ホームページ:https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/Christian_Dior/