【八王子市夢美術館】「アルフォンス・ ミュシャ展」

アルフォンス・ ミュシャによる約400点の作品が集結!

2020年、猛威を振るった新型コロナウイルス感染症により、美術館、博物館、ギャラリーなどの文化施設に、なかなか訪れられない日々が続きました。

しかし、新しい生活様式のもと事前予約をはじめ、検温や消毒など徹底した感染症対策を行い、運営に努める施設関係者の思いに応えられるように、一人でも多くの方が美術館を訪れるきっかけとなるべく、展覧会の模様を伝える【ミュージアム・レポート】をスタートしました。

そのような経緯から八王子市夢美術館にて開催中の「アルフォンス・ ミュシャ展」をご紹介したいと思います。

八王子市夢美術館は、市民が気軽に親しめる「くらしの中の美術館」として、市街地に完成した再開発ビル(ビュータワー八王子)の2階にて、2003年(平成15年)10月に開館しました。

年5回程度の特別展(企画展示)を開催し、また年間を通して常設展(収蔵品展示)を行い、あわせてワークショップや講演会なども企画し、学習機会の場を提供していきます。

日常生活の中で様々な美術品とふれあい、豊かな感性を育み、魅力あるまちづくりの拠点です。

 

そんな八王子市夢美術館にて開催中の「アルフォンス・ ミュシャ展」では、アルフォンス・ ミュシャの栄光のパリ時代から、故郷チェコに尽くした晩年まで、400点余りの作品を展示しています。

彼は、ポスター制作のみならず、グラフィック・デザインの仕事も数多く手掛け、優美なデザインで人びとの暮らしに華を添え、19世紀末パリのベル・エポック(美しき時代)を彩り、アール・ヌーヴォーを代表する芸術家(ポスター画家、デザイナー)にまで昇りつめました。

ミュシャの描く優美な女性像は人気を集め、商業ポスターや装飾パネルなどに起用され、富裕層の特権であった芸術を、一般市民にまで広める役割を果たし、晩年に制作した《スラヴ叙事詩》では、「民衆のための芸術」という信念を終生貫いています。

会場では、パリ時代の華やかなポスター、装飾パネルをはじめ、画学生の手引きになるようにと制作された『装飾資料集』などを中心に、祖国発展のため手がけた切手や紙幣のデザイン、《スラヴ叙事詩》のパネルなどを通して、後半生を捧げた祖国チェコへの献身にも焦点を当てます。

400点余りの作品からミュシャの軌跡を辿るなかで、特に筆者が注目したのは『装飾資料集』です。

東京都内を中心に開催されたミュシャ展では、なかなか紹介されることのなかった、美女、動物、植物と、抽象的模様の組み合わせや家具・食器・装身具のデザインが展示されています。

その多方面に応用できる参考図版集にあるさまざまな装飾のパターンから、ミュシャのアイディアやその抜かり無い手仕事に触れることができることでしょう。

 

会期中、会場内の展示作品は誰でも撮影ができるだけでなく、展示室内の写真を撮影して、SNSに「#ミュシャ展八王子」をつけて投稿し、受付にて投稿画面をご提示いただいた鑑賞者には、ミュシャ展ポストカードをプレゼントしてもらえるキャンペーンが実施されています。

また、特設会場を設けてミュシャグッズを販売。ポストカード、ステーショナリー、エコバッグなど、OGATAコレクション額装品の販売も行っており、 ミュージアムショップのみのご利用も可能です。

そして、会期中の土・日には5〜6回程度ギャラリートークが実施されるほか、ミュシャの魅力についてコレクターの尾形寿行氏が語る講演会が開催されるなど、さまざまな取り組みが行われます。(※尾形寿行氏が語る講演会の応募は締切ました。)

ミュシャはどのようにしてアール・ヌーヴォーを代表する芸術家になったのか、400点余りの展示作品を鑑賞しながら、ぜひ考察してみてはいかがでしょうか。

取材・撮影・文:新麻記子

【情報】
「アルフォンス・ ミュシャ展」
会期:2023年4月7日(金)〜6月4日(日)
会場:八王子市夢美術館
時間:10:00~19:00
   ※各日入館は18:30まで
休館日:月曜日
入場料:一般 800円、学生(高校生以上)・65歳以上 400円、中学生以下 無料
ホームページ:https://www.yumebi.com/