【東京藝術大学大学美術館】「藝大式 美術の”ミカタ” ―この夏、藝大生になる―」展

アイティーエル株式会社では、一人でも多くの方が美術館や博物館を訪れるきっかけとなるべく、2020年7月より【ミュージアム・レポート】を開始いたしました。
今回は、作品を見るだけでは終わらない新しい”学び”の展覧会である、東京藝術大学大学美術館で開催中の「藝大式 美術の”ミカタ” ―この夏、藝大生になる―」展をご紹介します。

本展覧会について

「藝大式 美術の”ミカタ” ―この夏、藝大生になる―」展は、“美術館で美術作品を鑑賞する展覧会”でありながら、“大学の講義を受けながら作品を読み解く”といった、美術館に大学の授業を教育型プログラムを持ち込んだ、今までありそうでなかった体験型の展覧会となっています。
また、本展覧会は2026〜2028年の3年に渡って毎夏に開催されるシリーズとなっており、シリーズ第1回目となる今年度では、美術の歴史、実技、表現、鑑賞、保存修復など、東京藝術大学の現役講師陣が実際に担当する12の講義を、藝大のコレクションを中心に展開していきます。

本展覧会の見どころ

①展示をめぐって「藝大式 美術のミカタ」を一気に修復!

美術の秀才・天才が集まる東京藝大。いったい学内ではどのような授業が行われているのか?実習から座学まで、藝大での美術教育の一端を体験できるまたとない機会!展覧会のために考えられた様々な「講義」を、美術館の中で「展示」する初めての試みです。「絵画基礎演習」や「西洋美術史概説」というような様々なジャンルを、担当講師の展示、動画、無料の音声ガイドで学ぶことができます。

②夏休みの体験学習について

大学講義がテーマの本展覧会ですが、大人から子供まで、実際の美術作品を中心に分かりやすい内容となっています。親子で楽しめる体験展示や会場内でエンボススタンプを押して楽しめるワークシートも配布。また会期中にはミニレクチャーなど藝大ならではのイベントも実施されます。

③ホンモノで美術の「ミカタ」を学ぶ!

授業形式といっても、スライドによる講義ではありません。小倉遊亀の代表作〈径〉をはじめとする名品の数々を含むホンモノによる授業です。黒田清輝、和田英作、平櫛田中ら歴代教授や、藤田嗣治ら卒業生等の作品に加え、ゴッホから学生たちの作品まで、バラエティーに富む藝大コレクションを通じて美術の「ミカタ」を習得できます。

現役藝大講師陣がさまざまな美術の“ミカタ”を提案

1〜3限では明治期の日本近代美術史をさまざまな角度から振り返りつつ、絵画科油絵専攻による模写の実演を公開。4限では東京美術学校(現在の美術学部)創設に深く関わった岡倉天心の『茶の本』から日本人から美意識を学びます。

また日本画専攻の5限においては、藝大で脈脈と受け継がれる模写という行為が技法の修復のみならず、日本画のルーツに向き合いながら描くということを学びます。文化財保存学専攻の6限においては、美校初期から受け継がれる模刻を軸とした仏像の保存修復方法を紹介します。

7限では、私たちにとって身近で親しみ深い動物をモチーフにした作品を展示し、鑑賞者と作品及び作家との距離を縮める参加型の体験展示を行っています。8限では、作品をみた時の印象や素材の感触の感想をAIが蓄積させるクリエイティブ・アーカイブ演習を展開しています。

また9〜11限では美校卒業生たちの活躍を紹介するとともに、約100年前の東京の文化的寛容について概観します。絵画科油絵専攻〈版画〉の12限では、藝大が所蔵するゴッホが使用したプレス機の来歴とデゥーラーから現代作家までの銅版画の歴史を紐解きます。

以上、美術館という空間で体験できる12コマの講義では、藝大講師陣がさまざまな美術の“ミカタ”を提案している極めてユニークな企画です。

最後に

一般的な展覧会では、来場者は作品の前に立ち、キャプションを読み解き、自分なりの感想を持ち帰りますが、本展覧会では、「◯限目」の講義として構成されており、来場者は「藝大生」として授業を受講するような、東京藝術大学が140年近く培ってきた教育のエッセンスを体感できる本展覧会です。

美術をもっと深く楽しみたい人への最初の一歩として、美術作品を「鑑賞する」から「理解する」へと導いてくれる、新しい美術館体験がここにあり、次に美術館を訪れるときには、きっとあなたは以前とは違う「ミカタ」で作品と向き合える、本展覧会に足を運んでみてはいかがでしょうか。

【情報】

「藝大式 美術の”ミカタ” ―この夏、藝大生になる―」展
会期:2026年7月24日(金)~9月23日(水・祝)
会場:東京藝術大学大学美術館(東京・上野)
開館時間:10:00~17:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(ただし8月10日、9月21日は開館)
ホームページ:https://geidai-art-mikata.jp/tickets.html