【千葉市美術館】福田美蘭展 千葉市美コレクション遊覧

思わずクスッとするユーモア溢れる作品から
私たちの日本美術への眼差しをアップデートしよう!

まだまだ新型コロナウイルス感染症により、美術館、博物館、ギャラリーなどの文化施設に、気軽に訪れられない日々が続いています。

しかし、そんな状況下に負けじとオンラインチケットで密を防ぎ、検温や消毒など徹底した感染症対策を行いながら、運営に努める施設関係者の思いに応えられるように、一人でも多くの方が美術館を訪れるきっかけとなるべく、展覧会の模様を伝える【ミュージアム・レポート】をスタートしました。

そのような経緯から、千葉市美術館にて開催している『福田美蘭展 千葉市美コレクション遊覧』をご紹介します。

浮世絵や江戸絵画、現代美術を中心に、独自の切り口を持った展覧会を企画する千葉市美術館。

2020年7月のリニューアルを機に、いつでも浮世絵や江戸絵画が見られる「常設展示室」や、アーティストの公開制作やワークショップを通じて来場者が参加・体験できる「つくりかけラボ」など、幅広い年齢層が親しめる施設です。

そんなさまざまなコンテンツが楽しめる千葉市美術館にて開催中の本展覧会『福田美蘭展 千葉市美コレクション遊覧』では、現代美術作家の福田美蘭氏が選定した葛飾北斎や伊藤若冲など、千葉市美術館の江戸から明治時代の美術をきっかけに、創作された新作と発想源となった所蔵作品を展示しています。

福田美蘭は、東京藝術大学を卒業後、最年少での安井賞や国際展での受賞等、国内外での活躍を通して独自の作風を切り拓き、絵画の新たな可能性に挑戦しつづけている作家です。

人びとの固定観念を覆し、新たなものの見方や考え方を提案する彼女の芸術は、単なる絵画という枠にとどまらず、豊かな発想力によって独自の展開を遂げてきました。

福田氏は、日本美術をどのように写し、どのように読み解いて、どのような思いもよらぬ絵画を生み出していくのでしょうか。

周密な観察力や入念なリサーチに基づき、精緻な表現と自由な発想とが共存する新たな作品は、私たちの日本美術への眼差しを更新するとともに、作品を鑑賞するとは何かということを改めて考えさせてくれます。

会場では、福田作品と所蔵作品のふたつを見比べてみるとさまざまな発見があることでしょう。

彼女はインタビューで『知っているということはある種の思考が止まってしまう。』、つづけて『わたしの作品を見て、もう一度オリジナル作品に戻ったときに、今までとは違う見方が広がる。わたしの作品は、オリジナル作品をみるためのフィルターでありたい。』と語っています。

そのことから、みんなが知っている作品に新たな見方を提示され、私たちの固定概念に揺さぶりをかけられると同時に、現代を生きる私たちと同じ問題を共有する福田氏の作品は、少し敷居が高いと感じてしまう日本美術でさえも、不思議と身近な物事のように感じられます。

歴史、人物、社会、科学、宗教など、あらゆるものを包み込んで語ることのできる現代美術。

難しくてとっつきにくいと感じている方にこそ、この世界がどうなっているのかを知り、今をどのように捉えて生きていくのか、その暮らしのヒントを与えてくれるものとして、必要不可欠なものだということに気づかされるでしょう。

ぜひ、そんな脳のアハ体験を与えてくれる、楽しくてわくわくしてしまう、『福田美蘭展 千葉市美コレクション遊覧』に足を運んでみてはいかがでしょうか?

取材・撮影・文:新麻記子

【情報】
『福田美蘭展 千葉市美コレクション遊覧』
会期:2021年10月2日(土)〜2021年12月19日(日)
会場:千葉市美術館
時間:10:00〜18:00 (最終入場時間 17:30)
   ※金・土曜は20:00まで(最終入場時間 19:30)
休室日:​​毎月第1月曜日(祝日の場合は翌日)
    10月11日(月)、11月15日(月)
公式サイト:https://www.ccma-net.jp/