美術品のすばらしさを最大限に
引き出したい。
私たち学芸員の思いを、
光の演出で叶えてくれました。
美術品の展示における、光の重要性について教えてください。
美術作品自体はどれもすばらしいものですが、光の当たり方によってその良さが生きたり、死んだりします。命綱とでも言うのでしょうか。展示の上では、光がとても重要なポイントになるんです。
ガレやドームの作品の場合は、光の当たり方で色自体が変わることもあります。今、当館で展示しているのはラリックなんですが、光の当たる方向で見えるものが違ってきますね。
ITLを選んだ理由を教えてください。
私たちは、照明を使って美術品をこんな風に見せたいという思いはあっても、それを実現するための技術については全くわからないんですよね。LED化しようと思っても、どの照明をどこに設置したら私たちが見せたいものになるのかがわからない。そんな時にITLさんは実際に照明器具を持ってきて、実験して見せてくださり、親身にご相談に乗ってくださいました。
私たちはピンポイントで作品をこういう風に展示したいと思うことが、いろいろな場面であります。そういった時にITLさんはとても親身に、それこそこちらの立場に立って北澤美術館仕様にカスタマイズしてくださったからです。
もう一つの理由は、何と言っても国立博物館や他の館で大きな経験を積んでいらっしゃるということでしょうか。大々的な改良でそれなりの費用がかかりますし、私たちにとっても初めての経験でしたが、信頼性の高いお仕事をしてくれる会社だというのが伝わりましたので、ITLさんにお願いしました。
実際に、光によってどのような空間作りを行ったのでしょうか?
当館では、ガラス作品をケースの中で展示するんですが、作品ごとに光源をセッティングしたい位置が変わってしまうんです。この作品はこの角度からこう当てたいけれど、次回の作品の時は違う角度から違う光を当てたいという私たちの要望に対して、美術館の限られた設備と構造を踏まえた上でのカスタマイズをしてくださいました。
具体的にいうと、アームの操作によって多少光の位置を変えられるという工夫をしていただいたんです。その他にも、光の温度調節などもご相談にのっていただき、ガレやドーム、ラリックを飾るのにまさにぴったりの空間を作っていただきました。
ITLを選ばれて、良かったことを教えてください。
ITLさんは、これをこう見せたいとお話しした時にそれに沿ったプランを提案してくださったことはもちろん、美術館の予算の面も考慮して考えてくださったことが大きなポイントですね。
美術品はただのものではなくて、創った人も、それを購入した人も、展示する人も、一歩踏み出して、美術品をさらに良いものに見せる。それを実現しているのが、美術品の世界だと思います。私たち学芸員もそうですが、展示をする時に当たり前の心でやっていたのでは、美術品の良さは最大限に引き出せないと思うんです。ITLさんはそんな私たちの思いを理解して、ある意味仕事を度外視してご相談に乗ってくださったんです。